投稿日:2026年8月3日
更新日:2026年8月5日
kintoneへメールを自動で取り込む方法3選|データシンカー®・メール共有オプション・GASの違いを解説

問い合わせメールの内容を、毎回kintoneへ手作業で転記している
メールボックスに情報が残ったままで、案件や顧客情報とひもづけられていない
データシンカー®、メール共有オプション、GASの違いが分からず、どれを選べばよいか判断できない
―――kintoneへ受信メールを取り込む方法を検討する中で、このようなお悩みはありませんか?
kintone(キントーン)で問い合わせ管理、案件管理、受注管理、サポート対応などを行っていると、メールで届いた情報をkintoneアプリへ登録したい場面が多くあります。
たとえば、「Webフォームからの通知メール」、「ECサイトの注文メール」、「代表アドレス宛の問い合わせ」、「取引先からの見積依頼」、「添付PDF付きの請求書メール」などです。
これらを担当者が手作業でコピー&ペーストしていると、入力ミスや登録漏れが起きやすくなります。また、メールソフトとkintoneの両方を確認する必要があり、対応状況の把握にも時間がかかります。
そこで有効なのが、受信メールをkintoneへ自動または半自動で取り込む仕組みです。

本記事では、代表的な方法として、①連携サービス「データシンカー®(メール to kintone)」、②メール共有オプション、③GAS(Google Apps Script)でGmailとkintoneを連携する方法の3つを比較し、それぞれの特長や向いているケース、導入時の注意点を解説します。
- kintoneへ受信メールを自動で取り込む基本の考え方
- 手入力によるメール転記で起きやすい問題
- 自動取り込みで管理しやすくなる情報
- ①データシンカー®「メール to kintone」(DataSyncer®)
- 特長①:メール本文の情報をフィールドへ抽出できる
- 特長②:メールに添付されたファイルを自動登録・解析できる
- 向いているケース
- ②メール共有オプション
- 主な特長
- 向いているケース
- 導入事例:メール共有オプションで関連業者とのメールを一元化した事例
- ③GAS(Google Apps Script)でGmailとkintoneを連携
- 主な特長
- 向いているケース
- 導入事例:元請企業から届く案件依頼メールをkintoneへ自動登録
- 3つの方法の比較表
- 用途別おすすめサービス
- 導入時の注意点
- 注意点①:取り込みの対象メール事前に決定
- 注意点②:登録先アプリのフィールドと転記ルールを設計する
- 注意点③:添付ファイルやHTMLメールへの対応を確認
- 注意点④:導入後の運用ルールを決定
- まとめ
- kintoneと受信メールの連携ならルーブピークへ
kintoneへ受信メールを自動で取り込む基本の考え方
kintoneへ受信メールを取り込む方法を選ぶ際は、まず「何のためにメールを取り込みたいのか」を整理することが重要です。
一口にメールの取り込みといっても、目的によって必要な機能や適した方法は異なります。
たとえば、メールの件名や本文をそのまま対応履歴として保存したい場合と、本文から会社名、氏名、電話番号、問い合わせ内容などを抽出し、それぞれのフィールドへ登録したい場合では、求められる仕組みが大きく異なります。
また、代表メールアドレスに届く問い合わせをチームで管理したい場合は、メールを取り込むだけでは不十分です。担当者や対応状況、返信履歴まで共有できる仕組みを整える必要があります。
一方で、Gmailに届いた特定のメールだけを、できるだけコストを抑えてkintoneへ登録したい場合は、GAS(Google Apps Script)を使った個別開発が選択肢となることもあります。
なお、kintoneの基本機能だけでは、外部のメールボックスを常時監視し、条件に合うメールを自動でレコードとして登録することは基本的にできません。
そのため、受信メールの自動取り込みは、主に次の方法で実現します。
kintone連携サービス、またはプラグインを利用する
kintoneのオプション機能を利用する
kintone REST APIとスクリプトを使って個別開発する
どの方法が適しているかは、取り込みたいメールの種類や件数、抽出したい情報、対応状況の管理方法、予算などによって変わります。
まずは、「メールを保存したいのか」「内容を項目ごとに整理したいのか」「問い合わせ対応まで一元管理したいのか」を明確にしたうえで、実現方法を検討することが重要です。
手入力によるメール転記で起きやすい問題
メールの内容を手作業でkintoneへ転記している場合、件数が少ないうちは大きな負担を感じないかもしれません。
しかし、問い合わせや注文の件数が増えるにつれて、転記作業にかかる時間が増え、入力ミスや対応漏れも起こりやすくなります。
特に注意したいのが、「転記漏れ」です。
メール自体は届いていても、kintoneへ登録されていなければ、担当者以外は問い合わせや注文の状況を確認できません。対応が必要なメールほど、登録漏れがそのまま対応漏れにつながる可能性があります。
次に、手作業による「入力ミス」や「表記ゆれ」も起こりやすい問題です。
会社名、担当者名、電話番号、メールアドレス、注文番号などを転記する際に、入力内容を誤ったり、全角・半角やスペースの有無が統一されなかったりすることがあります。このような表記の違いが蓄積すると、同じ顧客が別のデータとして登録され、後から検索や集計を行いにくくなる原因にもなります。
さらに、メールボックスとkintoneで情報が分かれていると、「過去のやり取りを確認する手間」も増えます。
たとえば、kintoneの案件管理アプリには案件情報が登録されているものの、顧客との返信履歴は担当者個人のメールボックスにしか残っていないケースです。この状態では、担当者が休暇を取った場合や異動・退職した場合に、対応経緯を把握しにくくなり、引き継ぎにも時間がかかります。
手入力による主な問題を整理すると、以下の通りです。
メール内容の転記漏れが発生する
会社名や連絡先の入力ミスが起こる
表記ゆれによって検索や集計がしにくくなる
対応状況や返信履歴が担当者ごとに分散する
過去のメールを探すために時間がかかる
問い合わせ件数が増えるほど作業負担が大きくなる
このような課題は、受信メールをkintoneへ自動で取り込む仕組みを整えることで軽減できます。
メールの内容を自動で登録できれば、転記作業そのものを減らせるだけでなく、対応状況や過去の履歴もkintone上で共有しやすくなります。
自動取り込みで管理しやすくなる情報
受信メールをkintoneへ自動で取り込めるようになると、単にメールの本文を保存できるだけではありません。
メールに含まれる情報をkintoneのレコードとして扱えるため、検索や集計、担当者の割り当て、対応状況の管理など、後続業務にも活用しやすくなります。
問い合わせ管理アプリでは、次のような情報を1つのレコードにまとめて管理できます。
受信日時
差出人メールアドレス
件名
本文
問い合わせ種別
対応状況
担当者
また、案件管理アプリであれば、受信したメールの内容を案件履歴として残すことで、商談や見積、顧客とのやり取りの経緯を追いやすくなります。
ここで重要なのは、メールを「ただ保存する」のではなく、後続業務で使いやすい形に整理することです。メール本文の全文を1つのフィールドに保存するだけでも、内容の確認や履歴の保管には利用できます。
しかし、そのままでは、問い合わせ種別ごとの件数を集計したり、担当者別の対応件数を把握したりする用途には向いていません。
メール本文から会社名、氏名、電話番号、問い合わせ種別などの必要な情報を抽出し、それぞれのフィールドへ分けて登録できれば、一覧表示や絞り込み、グラフ集計、通知、プロセス管理などにも活用しやすくなります。
そのため、メール取り込みの仕組みを設計する際は、「どのメールを取り込むか」だけでなく、「どの情報を、どのフィールドへ登録するか」まで整理することが大切です。
①データシンカー®「メール to kintone」(DataSyncer®)
データシンカー®シリーズの「メール to kintone」は、クラフテクス株式会社が提供するkintone向けのデータ連携サービスです。

データシンカー®側で発行された専用メールアドレスにメールを送信、または転送することで、件名や本文、添付ファイルなどをkintoneアプリへ自動で登録できます。
単にメールの内容を1つのフィールドへ保存するだけでなく、本文を解析し、会社名や氏名、電話番号、注文番号などの必要な情報を抽出して、それぞれのフィールドへ登録できる点が特長です。また、メールに添付されたファイルの保存に加え、PDFファイル内の情報を抽出してkintoneのフィールドへ登録する処理にも対応しています。
※本セクションの内容は、クラフテクス株式会社様に確認いただいております。
特長①:メール本文の情報をフィールドへ抽出できる
データシンカー®「メール to kintone」では、受信したメールの本文を解析し、必要な情報をkintoneの各フィールドへ分けて登録できます。
たとえば、既存のWebフォームから届く通知メールをデータシンカー®の専用メールアドレスへ転送すれば、Webフォームの仕組みやデザインを変更することなく、入力内容をkintoneへ自動登録できます。

メール本文の全文を保存するだけでなく、氏名、会社名、連絡先、問い合わせ内容などを項目ごとに登録できるため、kintone上での検索や絞り込み、集計にも活用しやすくなります。
不動産ポータルサイトから届く反響メールや、ECサイトの注文通知、各種サービスから送信される自動通知メールなど、外部システムから届く情報をkintoneへ集約したい場合に有効です。
特長②:メールに添付されたファイルを自動登録・解析できる
データシンカー®「メール to kintone」では、メール本文だけでなく、メールに添付されたファイルもkintoneへ自動で登録できます。
PDFや画像などを添付ファイルフィールドへ保存できるため、メール本文と関連資料を1つのレコードにまとめて管理することが可能です。

また、「添付PDFファイル内容解析オプション」を使用することで、PDFに記載されている情報を解析し、必要な項目をkintoneの各フィールドへ登録する仕組みも構築できます。
たとえば、メールに添付された請求書から、会社名、請求金額、請求日などを抽出して登録すれば、ファイルを開いて内容を確認し、手作業で転記する負担を減らせます。

メール本文と添付ファイルをあわせてデータ化できるため、請求書や発注書、申込書などの書類をメールで受け取っている業務に活用しやすいでしょう。
向いているケース
データシンカー®「メール to kintone」は、メールを起点とした情報登録をできるだけ自動化したい場合に向いています。
特に、次のようなケースでは有力な選択肢となります。
既存のWebフォームや外部サービスを作り直さず、通知メールの内容をkintoneへ取り込みたい
問い合わせ、資料請求、注文、申込などのメールが一定数以上届く
メール本文から必要な項目を抽出し、kintoneの各フィールドへ分けて登録したい
PDFなどの添付ファイルも、メール本文とあわせて管理したい
GASなどによる個別開発を避け、専用サービスを使って安定運用したい
kintoneで「IPアドレス制限」をかけている
たとえば、複数のポータルサイトから届く反響メールを営業管理アプリへ自動登録したい場合、データシンカー®を活用することで、メールの内容をkintone上の案件データとして管理しやすくなります。また、請求書や注文書などのPDFがメールに添付されて届く業務では、メール本文と添付ファイルを同じレコードにまとめることで、書類を探す手間や確認作業の負担を軽減できます。
既存のメール受信フローを大きく変えずにkintoneへの登録を自動化したい企業にとって、検討しやすいサービスといえるでしょう。
▼関連記事(クラフテクス公式ブログ)
【kintone × メール連携】はどれを選ぶ?メールワイズ・メール共有オプション・データシンカーを比較
②メール共有オプション
メール共有オプションとは、サイボウズ社が公式に提供するkintoneの有料オプションで、複数人でメールを共有・管理できる仕組みです。
kintone上でメールの作成・送受信ができ、問い合わせ窓口やサポート窓口などに届くメールを複数人で共有・管理できます。メールごとに担当者や対応状況を設定できるため、誰が対応しているのかをチーム内で把握しやすくなります。
たとえば、「info@・・・」や「support@・・・」などの共有メールアドレスに届く問い合わせを、チームで確認・対応したい場合に活用できます。
データシンカー®「メール to kintone」が、受信メールの内容を解析し、kintoneアプリの各フィールドへ自動登録するための連携サービスであるのに対し、メール共有オプションは、メールの送受信や対応状況そのものをチームで管理するための機能です。
▼関連コラム
kintoneのメール共有オプションとは?|メールのやり取りを一元管理する方法
主な特長
メール共有オプションの主な特長は、メールの対応状況をチーム全体で共有できる点です。
代表メールアドレスやサポート窓口のメールアドレスを複数人で管理している場合、通常のメールソフトだけでは、「誰が対応しているのか」「すでに返信したのか」「現在どのような状況なのか」を把握しにくいことがあります。

メール共有オプションを利用すれば、受信したメールごとに担当者や対応状況を管理できるため、対応漏れや二重対応を防ぎやすくなります。
また、受信したメールの内容をkintoneアプリへ転記し、問い合わせ管理や顧客管理のレコードとして活用することも可能です。これにより、メール対応だけでなく、顧客情報や過去の問い合わせ履歴、現在の対応状況までkintone上でまとめて確認しやすくなります。
受信メールをkintoneアプリへ転記する方法には、「手動転記」と「自動転記」の2種類があります。
手動転記では、受信メールの中から必要なものを選び、1件ずつ操作してkintoneアプリへ転記できます。すべてのメールを登録する必要がなく、担当者が内容を確認してから転記したい場合に適した方法です。
一方、自動転記では、あらかじめ設定した条件に従って、受信メールをkintoneアプリへ自動で転記できます。特定の差出人や件名などを条件に設定することで、対象となるメールを登録する手間を減らすことが可能です。
▼自動転記の設定画面

向いているケース
メール共有オプションは、受信メールをkintoneへ取り込むだけでなく、メールの対応状況を見える化し、チームで共有したい場合に向いています。
特に、次のようなケースで活用しやすい方法です。
「info@」「support@」「recruit@」などの代表メールアドレスを複数人で管理している
「未対応」「対応中」「完了」などの対応状況をチーム内で共有したい
顧客情報や案件情報とメールの履歴をひもづけて管理したい
kintone上からメールの作成や返信を行いたい
サイボウズ公式のオプションを利用して運用したい
たとえば、問い合わせ管理アプリとメール共有オプションを組み合わせれば、受信メールを問い合わせレコードとして転記し、その後の担当者や対応状況をkintone上で管理できます。
営業部門では、顧客管理アプリや案件管理アプリとメールの履歴をひもづけることで、商談に至るまでのやり取りや過去の対応内容を確認しやすくなります。また、採用部門であれば、応募者情報とメールの対応履歴を一元管理することで、面接日程の調整状況や選考の進捗を採用担当者間で共有しやすくなります。
このように、メール共有オプションは、単に受信メールをkintoneへ転記するだけでなく、メール対応そのものをチームで管理したい場合に適した方法といえるでしょう。
導入事例:メール共有オプションで関連業者とのメールを一元化した事例
▼お客様名
株式会社テクノエー様
▼利用サービス
メール共有オプション、カレンダーPlus、gusuku Customine
▼利用場面
不動産売買業務において、業者とのメールやり取りを「メール共有オプション」で一元管理できるようにしました。
土地の仕入れから販売までの過程では、解体・造成・建築工事などに関わる業者とのメール連絡が多く発生します。これまでは、メール内容を物件ごとの活動履歴として残すために、必要な内容を手動でkintoneへ転記していました。
そこで、メール共有オプションを活用し、受信メールや返信内容をメール管理アプリに蓄積。さらに、物件情報と紐づけることで、各物件の画面から関連するメール履歴を確認できるようにしました。

この改修により、不動産売買業務において以下の効果が出ています。
業者とのメール内容を手動で活動履歴へ転記する負担が減った
物件ごとに過去のメール履歴を確認しやすくなった
受信内容、返信内容、対応状況をkintone上で管理できるようになった
担当者以外でも、物件に関するやり取りの経緯を把握しやすくなった
▼事例の詳細はこちら
kintone×不動産売買業の導入事例|内製kintoneを活かした物件管理の効率化
③GAS(Google Apps Script)でGmailとkintoneを連携
GAS(Google Apps Script)を使って、Gmailに届いたメールをkintoneへ自動登録する方法もあります。
GASは、GmailやGoogleスプレッドシートなど、Google Workspaceの各サービスを自動化できるスクリプト環境です。Gmailに届いたメールを条件に応じて検索し、差出人、受信日時、件名、本文などの情報を取得したうえで、kintone REST APIを実行してレコードを登録する仕組みを構築できます。
たとえば、特定のメールアドレスから届いたメールや、件名に特定の文字列を含むメールだけを抽出し、問い合わせ管理アプリや案件管理アプリへ登録することが可能です。
データシンカー®やメール共有オプションのような専用サービスを利用する方法とは異なり、GASによる連携では、自社の業務やメールの形式に合わせて処理内容を個別に設計します。
主な特長
GAS連携の最大の特長は、自社の業務に合わせて処理内容を柔軟に設計できる点です。
たとえば、Gmailで特定のラベルが付いたメールだけを対象にしたり、件名に特定の文字列が含まれるメールだけを取り込んだりできます。また、メール本文を正規表現などで解析し、会社名、氏名、電話番号、問い合わせ内容といった必要な情報を抽出して、kintoneの各フィールドへ登録することも可能です。
GASを使って受信メールをkintoneへ取り込む場合、基本的には次の流れで処理します。
Gmailから条件に合うメールを検索する
件名、差出人、受信日時、本文などを取得する
必要に応じて本文を加工し、登録する情報を抽出する
kintone REST APIを使ってレコードを登録する
登録済みメールにラベルを付けるなど、、重複登録を防止する
kintone REST APIには、外部システムからアプリへレコードを登録するためのAPIが用意されています。APIトークンやOAuth認証などを利用して認証を行い、GASの「UrlFetchApp」からHTTPリクエストを送信することで、Gmailの情報をkintoneへ登録できます。
▼GASのスクリプト例

▼GASを使用して受信メールをkintoneへ取り込むイメージ

一方、GASによる連携は個別開発となるため、構築後も継続的な保守が必要です。Gmail側のメール形式やkintoneアプリのフィールド構成を変更した場合、スクリプトの修正が必要になることもあります。
さらに、GASには1回あたりの実行時間や、サービスの利用量に関する上限があります。そのため、短時間に大量のメールを処理する場合や、メール受信後すぐにkintoneへ反映したい場合には注意が必要です。
そのため、件名や本文だけを登録する仕組みと比較すると、添付ファイルを含む連携は実装や保守の難易度が高くなります。
向いているケース
GAS連携は、GmailまたはGoogle Workspaceを利用しており、自社で開発・保守できる体制がある場合に向いています。
特に、次のようなケースで検討しやすい方法です。
Gmailに届く特定のメールだけをkintoneへ登録したい
まずは小規模かつ低コストで自動化を試したい
メール本文の加工ルールを自社で細かく制御したい
既存の連携サービスでは対応しにくい独自条件がある
社内または外部パートナーに、GASやkintone REST APIを扱える人材がいる
たとえば、特定の取引先から届く定型メールを、毎日数十件程度kintoneへ取り込みたい場合は、GASで対応できる可能性があります。
メール本文の形式が一定で、取り込む項目も少ない場合は、比較的シンプルな構成で始めやすいでしょう。
一方で、業務上の重要度が高いメールや、添付ファイル付きのメールを扱う場合は注意が必要です。また、エラー発生時に再処理が求められる業務では、単にメールを登録する処理だけでなく、実行ログやエラー通知、再実行の仕組みまで含めて設計する必要があります。
そのため、「無料で実現できそう」という理由だけで選ぶのではなく、保守を担当する人材、エラー監視、将来的な仕様変更まで含めて検討することが大切です。
導入事例:元請企業から届く案件依頼メールをkintoneへ自動登録
▼お客様名
合同会社PYL様
▼利用サービス
Gmail、gusuku Customine、LINE WORKS
▼利用場面
元請企業からGmailへ届く案件依頼メールを、GAS(Google Apps Script)を使ってkintoneへ自動登録した事例です。
受信したメールの内容をもとに案件情報をkintoneへ登録し、その後、該当する地域の作業員が参加するLINE WORKSのチャットグループへ自動で通知する仕組みを構築しました。
これにより、担当者が案件依頼メールを確認し、kintoneへ転記したうえで作業員へ連絡する作業が不要になりました。案件情報の登録から関係者への共有までを自動化したことで、作業員へ案件を案内するまでの時間が短縮され、対応遅れによる機会損失の削減につながっています。
このように、GASは受信メールをkintoneへ取り込むだけでなく、その後の通知や担当者への共有まで含めた業務フローの自動化にも活用できます。
▼事例の詳細はこちら
kintone×LINE WORKSの導入事例|駆けつけサービス業の受注・請求管理、人員配置を自動化し、案件情報を一元化
3つの方法の比較表
ここまで紹介した3つの方法を比較すると、以下のようになります。
▼3つの方法の比較表
このように、3つの方法は単純な優劣ではなく、目的によって向き不向きがあります。
メール本文を業務データとして構造化したいならデータシンカー®、メール対応状況をチームで共有したいならメール共有オプション、Gmailを前提に独自処理を組みたいならGASが候補になります。
用途別おすすめサービス
ここまで紹介した3つの方法は、それぞれ向いている用途が異なります。自社で取り込みたいメールの種類や、対応状況をどのように管理したいかを踏まえて選ぶことが重要です。
Webフォームや外部システムの通知メールを取り込みたい場合 → データシンカー®「メール to kintone」
既存のWebフォームや外部サービスを作り直す必要がなく、現在の運用を大きく変更せずに導入しやすい点が特長です。また、メール本文から必要な項目を抽出してkintoneの各フィールドへ登録したい場合や、添付ファイル、PDF内の情報を活用したい場合にも適しています。
セキュリティ面では、kintoneの「IPアドレス制限」にも対応できるため、よりセキュアに運用したい場合にも有力候補となります。代表メールの対応状況をチームで共有したい場合 → メール共有オプション
kintone上でメールの送受信や対応状況を共有し、必要なメールをkintoneアプリへ転記できます。
問い合わせ対応やサポート窓口、採用業務など、担当者や対応履歴をチームで確認しながら進めたい場合に適した方法です。Gmailに届く特定のメールだけを連携したい場合 → GASによる連携
Gmailに届く特定のメールだけをkintoneへ登録したい場合や、独自の条件でメール本文を加工したい場合は、GASによる連携が向いています。
対象とするメールの条件や、kintoneへ登録する項目、登録後の処理などをスクリプトで柔軟に設計できます。一方で、構築後も開発や保守が必要です。継続的に運用するためには、エラーの確認や仕様変更への対応を行える体制を整えておくことが重要です。
導入時の注意点
受信メールをkintoneへ取り込む仕組みは便利ですが、導入前の設計が不十分だと、運用後に使いにくくなることがあります。
そのため、導入前に取り込み対象となるメールや登録先のアプリ、添付ファイルの扱い、運用ルールなどを整理しておくことが重要です。
注意点①:取り込みの対象メール事前に決定
最初に決めておきたいのは、どのメールをkintoneへ取り込むかです。
すべてのメールを登録すれば便利に見えるかもしれませんが、不要なメールまで取り込むと、レコードの一覧が見にくくなり、必要な情報を検索しにくくなります。
たとえば、問い合わせ管理であれば、対象は「問い合わせフォームからの通知メール」「代表アドレス宛の問い合わせメール」「特定件名を含むメール」などに絞ると運用しやすくなります。
あわせて、次の条件も事前に整理しておきましょう。
どのメールアドレス宛のメールを対象にするか
どの件名や差出人を対象にするか
自動登録しないメールの条件は何か
重複登録されないか
迷惑メールや自動返信メールをどう扱うか
特に、転送設定やCCによって同じメールが複数届く場合は、kintoneへ重複して登録される可能性があります。
重複登録を防ぐためには、メールのMessage-IDをkintoneへ保存し、登録済みのメールかどうかを判定する方法が考えられます。連携方法によっては、受信日時、件名、差出人などを組み合わせて重複を確認する設計も必要です。
注意点②:登録先アプリのフィールドと転記ルールを設計する
メールを取り込む際は、登録先となるkintoneアプリのフィールド構成と、どの情報をどのフィールドへ登録するかを事前に設計しておくことが重要です。
メールの件名や本文をそのまま1つのフィールドへ登録するだけでよいのか、会社名、担当者名、電話番号、問い合わせ種別などを項目ごとに分けて管理したいのかによって、必要なアプリ構成は変わります。
たとえば、問い合わせ管理アプリでは、受信日時、差出人名、メールアドレス、会社名、件名、問い合わせ内容、添付ファイル、対応ステータス、担当者、対応期限などを設計すると管理しやすくなります。
また、問い合わせを行った企業の情報を顧客管理アプリで管理している場合は、関連レコード一覧を使って、顧客管理アプリ上に過去の問い合わせ履歴を表示することも可能です。その場合は、会社コードや顧客ID、メールアドレスなど、アプリ間を紐づけるキー項目をあらかじめ用意しておく必要があります。
ただし、将来的な活用を想定してフィールドを増やしすぎると、アプリの構成や転記ルールが複雑になり、かえって運用しにくくなる可能性があります。
まずは、「現場が確認したい情報」「検索や集計に使用する情報」「後続の業務で必要となる情報」に絞って設計し、運用しながら必要な項目を追加していくことが大切です。
注意点③:添付ファイルやHTMLメールへの対応を確認
メールをkintoneへ取り込む際は、本文だけでなく、添付ファイルやHTMLメールをどのように扱うかも事前に確認しておく必要があります。
請求書、注文書、見積書、申込書などがPDFで添付される業務では、添付ファイルをkintoneへ保存するだけでよいのか、PDF内の会社名や金額、注文番号なども抽出してフィールドへ登録したいのかによって、必要な仕組みが変わります。
データシンカー®のように、添付ファイルの登録やPDF内の情報解析に対応できるサービスもあります。ただし、利用できる機能や設定方法は契約内容によって異なる場合があるため、導入前に確認しておきましょう。
GASで添付ファイルを扱う場合は、Gmailからファイルを取得する処理に加え、kintoneへファイルをアップロードし、取得したファイルキーをレコードへ登録する処理が必要です。
そのため、件名や本文のみを登録する場合と比べて、実装やエラー処理の難易度は高くなります。
また、HTMLメールは、同じ種類の通知メールでも送信元の仕様変更によってHTML構造が変わることがあります。特定の位置やタグだけを前提に情報を抽出すると、構造が変わった際に正しく登録できなくなる可能性があります。
複数のサンプルメールを使って、必要な情報を安定して抽出できるか確認したうえで、抽出に失敗した場合の通知や再処理方法もあわせて検討しておくことが重要です。
注意点④:導入後の運用ルールを決定
メール取り込みの仕組みは、構築して終わりではありません。
自動登録されたレコードを誰が確認するのか、エラーが発生した際に誰が対応するのか、登録後のレコードをどのように処理するのかまで、事前に決めておく必要があります。
導入前には、次のような運用ルールを整理しておきましょう。
自動登録されたレコードを誰が確認するか
登録エラーや解析エラーを誰が確認するか
重複登録が発生した場合にどのように対応するか
対応ステータスを誰が、どのタイミングで更新するか
メールの形式や登録先アプリの構成が変わった場合に、誰が修正するか
特に重要なのが、エラー発生時の対応です。
メールの取り込みを自動化しても、登録の失敗に気付けなければ、問い合わせへの対応漏れや受注処理の遅れにつながる可能性があります。
そのため、エラーを検知した際の通知先や確認方法、再登録の手順まで含めて設計しておくことが大切です。また、担当者の異動や退職によって仕組みが保守できなくならないよう、設定内容や修正手順を文書として残しておきましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
本記事では、受信メールをkintoneへ取り込む方法として、データシンカー®「メール to kintone」、メール共有オプション、GASによる連携の3つを紹介しました。
それぞれ、メール本文から必要な情報を抽出したい場合、複数人でメールの対応状況を共有したい場合、Gmailと独自条件で連携したい場合など、向いている用途が異なります。
どの方法を選ぶ場合でも、最初に整理しておきたいのは、「どのメールを、どのアプリへ、どの項目として登録し、登録後にどのように活用するのか」という点です。
あわせて、添付ファイルの扱いや重複登録の防止方法、エラー発生時の対応ルールまで決めておくことで、導入後も安定して運用しやすくなります。
受信メールをkintoneへ取り込む目的と運用方法を明確にしたうえで、自社に合った方法を検討してみてください。
kintoneと受信メールの連携ならルーブピークへ
受信メールをkintoneへ自動で取り込むことで、問い合わせや案件依頼、注文通知などの情報を一元管理し、転記作業や対応漏れを減らすことができます。
ただし、実際の運用では、取り込み対象となるメールの条件や登録先アプリの構成、添付ファイルの扱い、エラー発生時の対応方法まで含めて設計することが重要です。
Lubepeak株式会社では、kintoneアプリの設計・開発に加え、データシンカー®やメール共有オプションの導入、GASを活用したGmail連携など、お客様の業務に合わせた仕組みづくりを支援しています。
「受信メールの転記作業をなくしたい」「メール受付後の対応まで効率化したい」とお考えの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
Lubepeak株式会社 代表
平井 将吾

~ 経歴 ~
2021年
富士フイルムビジネスイノベーション株式会社へ新卒入社2022年~2025年
官公庁において、「kintone」の導入で「自治体DX」を多数支援2025年10月~
Lubepeak株式会社を設立。
中小企業のお客様を対象に「kintone」の導入支援を行い、要件整理から運用定着まで一貫支援
<主なサービス>
・ kintone定額開発サービス 「KYOSOU」
・ kintoneプラグイン提供サービス 「Plugin to Peak」2026年1月
Lubepeak株式会社が「サイボウズコンサルティングパートナー」に認定2026年6月
Lubepeak株式会社が「サイボウズプロダクトパートナー」に認定


サイト運営者
顧客の業務改善に向き合える場所
ルーブピークは、「kintone」で企業の課題を共に解決するメンバーを募集しています。
採用サイトはこちら

























